マンション経営やアパート経営といった賃貸経営で得た家賃収入は、自由に使えるものと思っている人も一定数いると思いますが、すべてを自由に使えるわけではありません。使用できるのは利益から万が一の備えを差し引いて残った分だけです。正確な金額を計算するためには、賃貸経営で得られる収入と支出の両方をしっかり把握しておくことが大切です。
この記事では、賃貸経営によって得られる主な収入、発生する主な支出、利益を上げるためのポイントを解説します。
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目次
賃貸経営で得られる主な収入
賃貸経営で得られる主な収入として、以下の5つが挙げられます。
ポイント
・家賃
・共益費
・駐車場使用料
・礼金
・更新料
それぞれの収入について詳しく説明していきます。
家賃
家賃(賃料)は、賃貸経営で得られる収入のほとんどを占めています。空室率が高いと得られる家賃は少なくなるので、賃貸経営で成功するには高い入居率を維持することが必要不可欠です。賃貸経営では空室リスク、家賃滞納リスクにより収益が減少するおそれがあるため、リスクに対する備えをしっかり行っておくことが重要です。
例えば、家賃保証付きのサブリース契約(一括借り上げ)は空室が生じても満室状態の家賃収入が得られるため、空室リスク・家賃滞納リスクの両方を抑えられます。また、家賃保証会社を利用すれば、連帯保証人が滞納家賃を支払ってくれない場合でも、家賃保証会社が滞納家賃を支払ってくれるので安心です。
共益費
入居者から徴収する共有部分の維持費を名目とした金銭です。共用部分の維持費に含まれているのは、水道光熱費、電灯(電球)の交換、植栽管理などにかかる費用などが挙げられます。
別途町内会費を借主から徴収するケース、共益費の中にあらかじめ含まれているケースなどさまざまです。町内会費が共益費に含まれている場合は手元に残る共益費が少なくなるので注意が必要です。
駐車場使用料
駐車場が設置されている賃貸物件では毎月駐車場使用料が得られます。しかし、昨今は若者の車離れ、都心の場合には車よりも電車で移動したほうが便利なケースも多いため、駐車場の空きが目立つケースが増えています。余った土地の有効活用として、駐車場を外部に貸し出す、トランクルームを設置するといった土地活用を取り入れる賃貸物件も増えているということを覚えておきましょう。
礼金
礼金とは、初期費用として入居者から契約時に支払われる謝礼金です。返還を目的とするものではなく、謝礼金としての性質があるため、収入に分類します。似たような初期費用に敷金がありますが、敷金は退去時の原状回復にかかった費用を引いて残った分は返還しなければならないものなので収入には計上しません。礼金の目安は家賃の1~2カ月分です。
更新料
更新料とは、契約を更新する際に支払う手数料です。賃貸借契約は2年契約としているケースが多く、契約の更新時に更新料を徴収する傾向があります。礼金と同様、更新料の目安は家賃の1~2カ月分です。
賃貸経営で生じる主な支出
賃貸経営で生じる主な支出として、以下の6つが挙げられます。
賃貸経営で生じる主な支出
・管理委託費
・仲介手数料
・修繕費用
・ローン返済費用
・保険料
・その他の費用
それぞれの支出について詳しく解説していきます。
管理委託費
管理委託費(管理委託料)とは、不動産管理会社に投資用不動産の管理を委託した場合に支払う手数料(報酬)です。宅地建物取引業法には管理委託費の設定に関する制限が特に設けられていないため、各管理会社で料金設定は異なりますが、一般的に賃料の3%~5%程度に設定されていることが多いです。
不動産管理会社や依頼する業務内容により異なるため、複数の不動産管理が良い社の管理プランや料金設定を比較検討することをおすすめします。家賃保証付きのサブリース契約では、家賃収入の10%~20%のようにさらに高くなる傾向があるため、各社の設定を契約前にしっかりチェックしておきましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、入居者募集に成功した場合に不動産仲介会社に支払う手数料(報酬)です。宅地建物取引業法に上限が記載されており「家賃の1カ月分+消費税」となっています。
貸主と借主の両方を仲介した場合は、双方に1カ月分ずつ請求しても問題ないと思っている人も多いと思いますが、貸主と借主の仲介手数料を合算して1カ月分以内であることが注意点として挙げられます。入退去の多い物件では仲介手数料が支出に占める割合が高くなるということを覚えておきましょう。
修繕費用
修繕費用とは、建物のメンテナンスや修繕にかかる費用です。新築物件の場合はほとんどかかりませんが、築年数の経過した物件であるほど修繕費用が大きくなる点に注意が必要です。特に中古物件を購入する際は、過去の修繕履歴を確認しておかないと修繕費用が多くかかることにより利益率が下がる可能性があるため、修繕履歴を必ず確認しましょう。
ローン返済費用
ローン返済費用とは、元金の返済と利息の返済を合算した金額です。返済期間が長期の場合は1回あたりの返済負担が小さいものの、返済総額が大きくなる、返済期間が短期の場合は1回あたりの返済負担は大きいものの、返済総額が小さくなります。
返済総額を抑えたいと考えている人も多いと思いますが、毎月の返済負担が大きいと空室が生じた際に返済に支障が生じやすいので注意が必要です。キャッシュフローを意識した余裕のある返済計画を立てるためには、なるべく返済期間を長く設定することをおすすめします。借入金返済費用の利息部分については会計上経費として計上できます。しかし、元本部分の支払いは経費に計上できないことを覚えておきましょう。
保険料
不動産投資では、運用中の投資用不動産で万が一の事態が生じても対応できるように、火災保険や地震保険、損害保険に加入します。日本は地震大国なので、自然災害リスクに備えるためには必要不可欠です。保険料の支払い方法には一括払いと分割払いがあり、一括払いのほうが安くなるケースが多いです。しかし、一括払いで支払っても経費計上できるのは単年ごとなので、節税効果は期待できないという点に注意しましょう。
その他の費用
投資用不動産を購入または新築した場合は、所有者には毎年固定資産税・都市計画税という税金が課されます。また、所有権移転登記を司法書士に依頼した場合や確定申告を税理士に依頼した場合には報酬を支払わなくてはなりません。
減価償却費も支出の1つですが、実際に支出が生じるわけではなく経年劣化による資産価値の減少を会計上経費として計上します。他にも、水道光熱費、区分マンション投資の場合は管理費や修繕積立金などの費用も発生するため、どのような支出が生じるのか全体像をしっかり把握しておきましょう。
賃貸経営で利益を上げるためのポイント
賃貸経営で利益を上げるためのポイントとして、以下の2つが挙げられます。
ポイント
・収支計画をしっかり立てる
・表面利回りよりも実質利回りを意識する
それぞれのポイントを紹介していきます。
収支計画をしっかり立てる
賃貸経営では、赤字経営に陥らないか、利益がどのくらい出るのか把握することが大切です。利益がギリギリの場合には想定以上の空室が生じると赤字に転落する可能性があるため、余裕を持った収支計画を立てましょう。
表面利回りよりも実質利回りを意識する
中古物件を取得する際は表面利回りよりも実質利回りをチェックすることが大切です。その理由は、実質利回りには支出が反映されているためです。将来的な家賃の値下がりやコストの増加なども想定して収支計画を立てれば、万が一の事態が生じても落ち着いて対応できるでしょう。
専門家にサポートを依頼するのも選択肢の1つ
賃貸経営では、必要経費をいかにうまく計上するか、利用できる控除をうまく利用するかによって収益を向上させることが可能です。しかし、計上できない費用を経費として計上すると、後で税務署から指摘が入り、追徴課税の対象となる可能性もあるので要注意です。
税務の専門家である税理士に相談すれば、経費計上のトラブルを回避できる、節税効果を高められる、確定申告の手間を省けるなどのメリットがありますが、報酬が発生するというデメリットもあります。サラリーマンの中には、会社の年末調整により確定申告をしたことがないという人も多いことを考慮すると、税理士に任せたほうが良いでしょう。
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