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相続登記が義務化されます(2024年4月1日施行)|3つのパターン別の相続登記の費用と相続人申告登記について|不動産投資セミナーナビ

遺言書と不動産権利書

相続登記の義務化が2024年4月1日から施行されますが、みなさんご存じでしょうか?

この相続登記は、現時点(2023年8月時点)では、登記申請を行わなくても特に罰則などは科せられていないこともあって、手続きをしない方は一定数いらっしゃいます。手続きしない理由に、登記費用の負担、相続する土地の価値が低く、また売却も困難である場合に、わざわざ費用と手間を掛けて登記申請する意味や価値が見い出せないからです。

しかし、今回の義務化で、正当な理由なく怠ると過料が科せられることがあるため注意が必要です。この記事では、義務化に至った経緯に加え、怠った場合の過料の内容、過去の相続分の扱い、相続登記を行わないリスクまでできる限りわかりやすく解説します。
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相続登記とは何か?

相続登記とは、亡くなった方(被相続人)が所有していた不動産の名義を、相続する方(相続人)の名義へ変更することを言います。不動産を相続した人は相続を原因とする所有権移転登記、いわゆる相続登記を申請する必要があります。

参考(改正不動産登記法 76条2第1項)

「所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により所有権を取得した者も、同様とする。」

相続登記義務化のポイント

今回の相続登記義務化には3つの押さえるべきポイントがあります。

ポイント

・相続登記の義務化は令和6年(2024年)4月1日から
・相続登記を正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の罰則
・過去の相続分も義務化の対象になる

相続登記の義務化は令和6年(2024年)4月1日から

所有者不明土地の発生を予防する観点から、その主要な発生原因である相続登記の未了や住所変更登記等の未了に対応するため、不動産登記法を改正し、いわゆる相続登記を義務化し、2024年4月1日に施行することになりました。(R3.4.21成立、4.28公布、R6.4.1施行)

相続登記を正当な理由なく怠ると10万円以下の過料

不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けられます。【新第76条の2】
また、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられます。

正当な理由の例

・相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
・遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
・申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース など

「その取得を知った日から」とは、自己のために相続の開始があったことを知り、且つ、その所有権を取得したことを知った日のことです。要は、ご自身が相続人であることを認識していても、相続財産に不動産があることを知らなければ、登記義務は生じないという解釈になります。

具体的なケースごとに説明します。

■ケース1 遺言書があった場合
遺言者が亡くなったことを知り、且つ、遺言によって自身が不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が必要。

■ケース2 遺産分割協議が成立した場合
遺産分割協議が成立した場合には、自身が相続人であることを知り、且つ、相続財産の中に不動産があることを知った日から3年以内に、分割協議の内容を踏まえた相続登記の申請が必要になります。

■ケース3 遺産分割協議が成立しなかった場合(法定相続の場合)
自身が相続人であることを知り、且つ、相続財産の中に不動産があることを知った日から3年以内に、相続人申告登記の申出(法定相続分による相続登記申請でも可)が必要です。その後、遺産分割協議が成立したら、その成立日から3年以内に、協議内容を踏まえた相続登記の申請を行う必要があります。

過去の相続分も義務化の対象になる

義務化の施行日(令和6年 2024年4月1日)以前に発生していた相続にも遡及(そきゅう)して適用されます。遡及とは、過去にさかのぼり法律の効力が発生することです。要するに、過去に相続した相続登記未了の不動産も登記義務化の対象となるので心当たりのある方は注意が必要です。

なお、この場合には、施行日または不動産を相続したことを知ったときのいずれか遅い日から3年以内に申請する義務を負います。また正当な理由なく期限内に申請しなければ、10万円以下の過料が科せられます。

相続人申告登記について

普段全く連絡を取らない兄弟や、一度も連絡を取り合ったことのない親戚がいるのは珍しいことではありません。そんな相続人が複数いる場合や、相続人のあいだで遺産分割協議が一向にまとまらない場合など、相続登記をしたくてもできない場合はどうしたらよいのでしょうか。

3年以内に登記しないと過料の対象になってしまう可能性がありますし、仮に正当な理由があり過料を免れたとしても義務を履行したことにはなりません。

そこで、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、相続人申告登記(2024年4月1日施行)が設けられました(新第76条の3)。この制度を利用して、不動産の所有者(登記名義人)について相続が開始したことと、自らが相続人であることを法務局に申請すれば、相続登記義務を履行したことになります。

ただし、この申請は相続人が複数いる場合で、自らが相続人のひとりであることを名乗り出ているだけに過ぎません。相続不動産の所有権を取得したことにはならないのでご注意下さい。所有権を主張するためには、正式な相続登記を申請する必要があることをご留意ください。

相続登記にかかる費用と労力

専門家から説明を受ける夫婦

相続登記の費用は、司法書士等の専門家に丸投げするか、不動産名義変更支援のオンラインサービスを利用するか、イチから自らの手で全て行うかによっても費用は変わってきます。他方、丸投げするのと、自ら行うのとでは労力と手間の視点では雲泥の差があります。管理人自らの経験も踏まえ、それぞれのメリット・デメリットと費用感をまとめました。

相続登記比較マトリックス

司法書士に依頼

相続登記を司法書士に依頼した場合の報酬相場は、概ね10万円~15万円のところが多いです。相続人が多い場合や、人間関係が複雑なケース、登記の件数が多い(相続する不動産の数が多いなど)場合は高額になるケースもあるようですが、一方で、面倒な手続きにかかる手間と労力を時間に置き換えると、決して高いとは言い切れないとも言えます。

司法書士に任せた方がいい場合

・相続人が多くいる場合や仲が悪い
・相続財産に分割が難しい不動産がある
・相続登記を放置していた不動産がある
・遠方の不動産を相続する

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オンライン相続登記支援サービスを利用する

各役所から戸籍や登記簿謄本等を収集後、WEBサービスに情報を入力し、出力書類に捺印、法務局へ郵送する流れが整っており、最短で2〜3週間で完結できるスピーディーさとコストバランスが良い。多少手を動かすことになりますが、手順通りに行えば難易度は高くありません。

相続登記サービスを利用する場合

・司法書士に依頼するほどではないが、一人では不安
・低コストで相続登記を完結したい
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自ら申請まで行う

コストは実費のみ(数千円)なのでとにかくコスト削減したい方向けです。相続登記に必要な書類の収集・調査・提出まで全て自らの手で行うので、難易度が高いだけでなく、とにかく手間がかかることは覚悟が必要です。例えば、相続人が自分だけとか、相続財産が多くなければ、自らの手で行ってもいいかもしれません。

自ら行う場合

・相続人が配偶者と子供だけ
・時間的にゆとりがある
・途中で挫折しないよう根気強くできる

登記費用以外にかかる税金と費用

登記費用以外にかかる税金と費用は以下の通りです。

登記費用以外にかかる費用

・登録免許税
・実費・雑費

◾️登録免許税
登録免許税とは、役所(法務局・登記所)で相続による不動産の名義変更手続き(登記)の際に生じる税金で、金額は「固定資産税評価額(固定資産評価額)×0.4%」です。ただし、相続人以外の人が遺言によって取得した不動産を登記する場合の税率は2%と定められていることも覚えておいてください。

◾️実費・雑費
遺産分割協議書の作成を外部に依頼する場合には作成料金が発生しますし、相続登記に必要な書類の発行手数料も必要です。必要書類は何を相続するのかによって異なりますが、不動産の場合は以下のような書類が必要です。

必要書類

・登記事項証明書
・被相続人や相続人全員の戸籍謄本・戸籍抄本(原戸籍等)
・被相続人の住民票除票
・相続人の住民票
・相続人全員の印鑑証明書

改製原戸籍謄本は750円、戸籍抄本は450円と全国一律ですが、住民票や印鑑証明相の発行費用は300円~400円程度と自治体ごとに異なります。事前にいくらなのか確認・計算し、金額が不足しないように用意しましょう。

相続登記は費用だけでなく手間も含め検討しましょう

相続登記は、費用だけでなく、相続する資産と相続する方の数、人間関係など多面的な要素を勘案し、よりよい手段を選ぶようにしましょう。相続人が多い場合や複雑な人間関係など ”面倒” なところは、司法書士等の専門家に任せた方が安心ですし、結果的に安く早く済んだ、という事例は少なくありません。

一方、相続するのがご本人のみで、相続不動産の数も多くないのであれば、オンライン不動産名義変更支援サービスを利用を検討してみてはいかがでしょうか。

相続登記の要点まとめ

・相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に相続人への名義変更手続きのこと。
・相続登記は、2026年4月1日から義務化。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料。
・相続登記には、遺言や遺産分割協議書などの書類が必要になることもある。
・相続登記は、自分でもできるが、司法書士等の専門家に任せる方が無難。

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相続した不動産を放置するデメリット

相続した不動産を誰かの単独所有(単独名義)ではなく、相続人全員の共有名義にしているケースも多く見られます。

荒れ果てた廃アパート

しかし、相続した不動産を共有名義のまま放置することはおすすめしません。その理由は、放置することで以下のようなデメリットを伴うためです。

注意ポイント

・固定資産税や都市計画税の無駄な支出
・資産価値が下落する懸念
・固定資産税が引き上げられる可能性

それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。

固定資産税や都市計画税等の無駄な支出が続く

相続した土地や建物等の不動産は、使っていない場合でも固定資産税や都市計画税、修繕費等の維持費が発生します。無駄な支出が増えるだけなので、将来の価格上昇を待っている、使用する予定がある場合等を除いて、活用または売却することをおすすめします。

電卓と模型のお金とTAXと書かれた積み木

資産価値が下落する懸念

基本的に築年数が経過すればするほど経年劣化(減価償却)により資産価値が下落します。

下降ダウンのイメージ素材

「地価が下落しているタイミングなので上昇を待っている」という人もいるかもしれませんが、経年劣化による資産価値の下落以上に地価が上昇しなくては損をするということを十分に理解しておくことが重要です。また、放置している場合には、放置して資産価値を落とすくらいなら早めに売却することも検討しましょう。

固定資産税が引き上げられる可能性も

不動産を放置した結果、特定空き家に指定されると固定資産税の優遇措置が受けられなくなります。優遇措置が適用されなくなった場合、固定資産税が最大6倍に引き上げられるので注意が必要です。

あくまでも優遇措置が適用されなくなることによって元の水準に戻るだけで加算されるわけではありません。税負担が大きくなる可能性があることを考えると、相続した不動産をどうするのかを早めに決めておくことをおすすめします。

相続した不動産で不動産投資を始めるメリット

相続した不動産を将来的に使用する予定がある、地価が回復するまで所有したいという人には相続した不動産で不動産投資を始めるという方法があります。相続した不動産で不動産投資を始めるメリットとして、以下の2つが挙げられます。

ポイント

・家賃収入を支出への支払いや生活費に充てられる
・固定資産税や相続税の節税効果が期待できる

それぞれのメリットを詳しく紹介していきます。

家賃収入を支出への支払いや生活費に

相続した土地に賃貸物件を建築または相続した一戸建てや区分マンションを賃貸として貸し出すことで、継続的・安定的に家賃収入を得られます。

お金と電卓

家賃収入は、固定資産税等の支払いに充てられるので家計への負担を減らすことが可能です。経費を引いて余った分は生活費や老後の私的年金にできます。管理が不安という人は不動産会社(不動産管理会社)に管理を委託できる、不動産所得に関する確定申告も税理士に任せられるため、始めやすい点も魅力です。

固定資産税や相続税の節税効果に期待

白い壁の2階建てのアパート

更地(空き地)の場合、賃貸物件を建築すれば小規模宅地の特例が適用されます。小規模宅地の特例が適用されれば固定資産税の負担を軽減することが可能です。また、賃貸物件だと相続税評価額が下がるので相続税対策、贈与税対策(生前贈与)にもなります。

法改正によって相続税の基礎控除が減額されて課税対象が増えたことを考えると、不動産投資によって相続税の節税効果が期待できるのは大きなメリットと言えるでしょう。

相続した不動産で不動産投資を始めようと検討している場合、独断で始めるのは危険です。継続的に安定した家賃収入を得るには、不動産投資に関する基礎知識を身に付けてから始めることが大切です。

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