建築基準法とは、1950年に定められた建物の建築や利用に関連(関係)するルールを規定した法律(建築法規)のことで、建築知識のポイントをまとめたマニュアルです。時代の変化に合わせて適宜改正、修正されているため、注文住宅や分譲住宅といった自身の住まい、賃貸アパートや賃貸マンションといった賃貸住宅を建築する際、中古住宅を購入する際にも確認しておく必要があります。この記事では、建築基準法の2つの規定、代表的なルール、違反した場合のペナルティを解説します。※本記事には「PR」が含まれます。
目次
建築基準法の2つの規定
家づくりのルールが定まっておらず、各自が自由に家を建築できた場合には、構造に何らかの問題があって自然災害リスクが高まる、隣家とのトラブルに発展する可能性があります。
建築基準法は上記のようなトラブルを回避し、安心・安全に暮らせる住宅を建築するために規定された法律です。構造計算や図面などを部分的に改ざんしている程度では、建築士といった専門家でない限りバレないと思っている人もいるかもしれませんが、バレないからと言ってルールを破るのはいけません。
その理由は、建築基準法に違反した場合は建築基準法第9条に従い、特定行政庁による工事停止、除却、移転、改築、使用禁止が命じられますが、その命令に違反した場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処される可能性があるためです。建築基準法は、「単体規定」と「集団規定」の大きく2つに分類されます。それぞれの規定について詳しく説明していきます。
単体規定
単体規定とは、個々の建物が満たすべき基準を定めたルールです。例えば、防火や耐震基準、屋根、外壁、居室の採光や換気、トイレ、電気設備などが挙げられます。地域による差がなく、日本全国の建物に対して適用されるのが単体規定です。
集団規定
集団規定とは、建物に関する規定というより良好な市街地環境を確保するために適用されるルールです。
例えば、都市計画区域内、準都市計画区域内などで適用される敷地(土地)と道路に関する基準、建蔽率、容積率、低層住居専用地域の高さ制限、各種斜線制限、防火地域や準防火地域の耐火建築物に関連する規定・措置などが挙げられます。
地域により適用される規定が異なるのが集団規定ですが、制限を受けるだけでなく角地のように一定の条件を満たしていれば緩和されることもあるというのが特徴です。
もっと知る 建築基準法における集団規定(しゅうだんきてい)とは?
代表的な建築基準法のルール
建築基準法がどのようなものかわかったものの、具体的にどのようなルールが設けられているかまでは詳しく知らないという人が多いと思います。
建物の建築を予定している場合には、建築基準法のルールによっては想定通りの建築物を建てられない可能性があるため、代表的な建築基準法のルールは最低でも押さえておくことが大切です。
代表的な建築基準法のルールとして、以下の4つが挙げられます。
代表的な4つのルール
・用途地域
・接道義務
・容積率・建蔽率(建ぺい率)
・高さ制限
それぞれのルールを紹介していきます。
用途地域
用途地域とは、都市計画法により、市街化区域、準都市計画区域を対象とする土地の利用に関するルールが定められた地域です。
住居系、商業系、工業系の3つ、以下のように全部で13種類に分けられます。
13種類の用途地域
- ・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・工業専用地域
用途地域が指定されている場合、建てられる建物の種類や大きさ(高さ)などが制限されます。具体的な制限について知りたいという人は以下のサイトを参考にしてください。
接道義務
接道義務とは、建築物が建築基準法に定められている道路に2m以上接していなければならないというルールです。原則幅員4m以上の道路に接していれば、接道義務を満たしていると判断されるため、建物の建築が可能になります。
しかし、道路であれば何でも良いわけではなく、接道義務の条件を満たすのは、あくまでも建築基準法に定められている道路に限られているという点に注意してください。
容積率・建蔽率(建ぺい率)・高さ制限
容積率とは敷地面積に対する建築物の延べ床面積の割合、建蔽率とは敷地面積に対する建築物の建築面積の割合です。
例えば、100坪で建蔽率60%、容積率100%の土地の場合は、1階部分は60坪、上階は残りの40坪まで建築することが可能です。高さ制限とは建築物の高さの上限のことで、絶対高さ制限、道路・隣地・北側斜線制限、日影規制と立地条件によって適用される制限が異なります。
建築基準法に違反した場合のペナルティ
建築基準法に違反した場合におけるペナルティについては、先の見出しで簡単に触れましたが、具体的にどのようなペナルティが課されるのでしょうか?
建築基準法に違反した場合のペナルティとして、以下の2つが挙げられます。
注意ポイント
・建築確認申請に落ちる
・再建築、増改築不可の可能性がある
それぞれのペナルティについて詳しく解説していきます。
建築確認申請が通らない
家を建築する際は建築前に建築確認申請という申請を行政に行います。行政や指定確認検査機関は申請された情報に基づいて、建築基準法や各種法令のルールを満たしているのかどうかチェックを受ける必要があります。
違法建築物(違反建築物)でも建物を建てるところまではできると思っている人もいるかもしれませんが、審査に通らなければそもそも建物の建築を開始できません。
最初の審査時点では建築基準法や各種法令に基づいたプランを提出して、最終的に違反する建物を建築した場合も、建築完了後の最終審査があります。その審査に通らなければ、使用禁止といった制限、罰則を受けることになるので注意が必要です。
再建築、増改築不可の可能性がある
法改正で建築基準法や各種法令の条件を満たさなくなった物件は、違反建築物ではなく既存不適格物件として扱われます。既存不適格物件を取得した場合、再建築不可、増改築不可となる可能性があるので注意してください。
「再建築、増改築できなくても、一定のリフォームやリノベーションまでは行えるので問題ない」と思っている人も多いかもしれませんが、自然災害リスクを忘れてはなりません。
再建築不可物件は、自然災害により建物が倒壊したまたは焼失した場合も再建築できないという点を理解しておく必要があります。また、住宅ローンまたは不動産投資ローンの審査に通りにくくリスクが高い、売却に不利になる物件なので、住宅として購入する場合も投資用として購入する場合も十分に注意しましょう。
中古物件を購入する場合は要注意
建築基準法は建物を建築する際のルールがまとめられたものです。建築当初はルールを遵守していても、時代の変化に合わせた法改正によって現行のルールを満たしていない建築物も少なくありません。
中古物件の中には、既存不適格という現行のルールには基づいていない建築物も数多く存在しています。既存不適格物件は今すぐ問題になるというわけではありませんが、ローンを組みにくい、再築や増改築が不可能など何かとリスクの高い物件なので注意が必要です。
既存不適格物件は、物件価格が安い、投資用物件として購入する場合は利回りが高いため、購入を検討している人もいるかもしれませんが、リスクが高いということを十分に理解した上で購入しましょう。
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