不動産投資を行う上で、一種単価という言葉に触れる時があると思います。
一種単価とは、容積率100%当たりの土地の坪単価のことです。計算方法は、坪単価を容積率で割って算出します。この記事では、一種単価とは何なのか、計算方法、一種単価の相場を把握するメリットについて解説します。
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目次
一種単価とは
不動産投資で使用される用語は専門用語が多く、文字を見ても簡単に理解できないものが多いです。専門用語をすべて理解する必要はありませんが、知っておくと不動産投資を有利に進められる、トラブルを未然に回避できる専門用語もあるため、不動産投資を始める前にいくつか覚えておくことをおすすめします。一種単価も不動産投資に役立つ専門用語の1つです。一種単価の意味を詳しく説明していきます。
容積率100%あたりの土地の坪単価
一種単価とは、新築分譲マンションや新築アパートの1棟売りをするデベロッパーが使用する計算式です。建物の建築費と利益を想定しながらいくらで土地を仕入れれば良いかを判断するのに使用します。
不動産投資では、一種単価を使用すれば購入した土地上に容積率いっぱいで建物を建築した場合の土地価格を算出できます。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積(延べ床面積)です。土地活用した場合の投資効率・収益性を評価できるので不動産投資の失敗を未然に防げるでしょう。
通常の坪単価との違い
坪単価とは、単純に土地価格(土地代)を坪数で割って算出した土地1坪あたりの価値です。平米単価ではないため、平米しか記載されていない場合は平米を坪に変換しなくてはなりません。
例えば、5,000万円の100坪の土地の坪単価は「5,000万円÷100坪=50万円」です。類似地の坪単価を比較して、単価が安ければ割安な土地と判断できます。そのため、単価計算は適正な土地の金額を把握する1つの目安・指標といえます。
一方、一種単価は坪数ではなく、容積率を基準にした土地1坪あたりの価値を知る目安・指標です。計算時に使用する数字が異なる、つまり計算によって算出された単価は全く違うものなので、それぞれの違いをよく理解した上で使い分けることが重要です。
一種単価の計算方法と容積率の種類
一種単価が容積率を基準にした土地1坪あたりの価値を知る目安・指標であることは分かったものの、具体的にどのように計算すればいいか分からない人が多いと思います。続いて一種単価の計算例、計算式に使用する容積率の種類について詳しく解説していきます。
一種単価の計算例
一種単価は「土地価格÷建築可能面積(坪)」で算出します。
建築可能面積は「容積率×土地面積(坪)」で、容積率は「道路の幅員(m)×法定乗数(用途地域によって異なる)」で求めます。
例えば、以下のような条件の土地があったとします。
メモ
・土地面積:100坪
・土地単価:100万円
・土地価格:1億円
・用途地域:商業地域
・建蔽率:80%
・都市計画容積率:500%
・前面道路5m
上記計算式にあてはめて算出した容積率は「5m×6/10=300%」となります。都市計画容積率は500%ですが、数字の小さいほうを採用するため、この土地の容積率は300%です。
建築可能面積は「100×300%=300坪」、一種単価は「1億円÷300坪=333万円」となります。
容積率の種類
一種単価は容積率100%あたりの土地の坪単価であることは先述しましたが、容積率がいくらなのかで計算結果は大きく異なります。容積率には以下のように3つの種類があるため、各容積率の違いについて把握しておくことが大切です。
ポイント
・指定容積率
・基準容積率
・実効容積率
■指定容積率
指定容積率とは、都市計画法で指定されている容積率です。役所の都市計画課で用途地域、建蔽率(建ぺい率)、容積率を確認できます。
■基準容積率
基準容積率とは、建築基準法で制限される容積率です。例えば、容積率400%の商業地域の土地で道路幅員が6mの場合は「400%×6/10=360%」。
■実効容積率
容積率いっぱいの建物を建築することが最適とは限りません。実効容積率とは、土地の形状やエリア特性、コンセプトなどを考慮して導き出された容積率です。
一種単価の相場を把握するメリット
一種単価の計算方法が分かったところで、これを不動産投資にどのように活かせばいいのかが分からない人も多いと思います。不動産投資家が一種単価の相場を把握しておくメリットとして、以下の2つが挙げられます。
メリット
・不動産投資に向いた土地かどうかを見抜ける
・投資効率が良い物件を見抜ける
それぞれのメリットについて紹介していきます。
不動産投資に向いた土地かどうかを見抜ける
収益物件を新築して賃貸経営を開始し賃料収入を得たい場合は、まず土地を取得する必要があります。土地を選ぶ際に一種単価を使用すれば、不動産投資に向いた土地かどうかを見抜く際の大きな判断材料になります。
例えば、同じ面積で同じ土地価格のマンション用地があった場合、一種単価を比較して一方が安ければ、安かったほうは居住スペースを多く確保できるということです。建物の延床面積が大きくなるため、建築コストは大きくなりますが、居住スペースを多く確保できた分だけ家賃収入を増やす効果が期待できます。
そのため、不動産投資を始めるにあたり土地選びに悩む際には、一種単価を用いてより精度の高い仕入選定をされてはいかがでしょうか。
投資効率が良い物件を見抜ける
一種単価が役立つのは、賃貸物件を新築する際の土地選びだけではありません。すでに建築済の投資物件を比較する際にも役立ちます。
例えば、同じ面積で同じ物件価格の賃貸物件があった場合、一種単価の低い物件は居住スペースが大きい物件であることが分かります。居住スペースが大きいということは、より多くの家賃収入を得られるということです。つまり期待利回りの高い物件なので、投資効率が良いと判断できます。
ただし、一種単価が低いにもかかわらず、広告に掲載されている利回りが低い場合は、設定家賃が低い、空室率が高いなどのデメリットが潜んでいる可能性があります。そのため、物件を選ぶ際は一種単価だけでなく入居状況や築年数などから総合的に判断しましょう。
とは言え、投資効率の良い物件を見つけることは簡単ではない
類似地、類似物件の一種単価を比較して安かった場合は、安いほうが投資効率の良い土地、物件と判断できますが、必ずしもそうとはいい切れません。
例えば、「レンタブル比」という居住スペースと廊下や階段などの共用部分の割合を調べて、共用部分の割合が多かった場合、共用部分からは収入が発生しないため、投資効率の悪い物件といえます。
上記のように投資効率の良い物件を見抜くことはなかなか容易ではなく、安易に一種単価だけで土地や物件を選ぼうとすると損をする可能性もあるので注意が必要です。
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