安定的・継続的な家賃収入が期待できる、リスクが比較的低いという理由から、資産形成の手段としてマンション経営やアパート経営などの賃貸経営が注目を集めています。
相続で土地を取得した人の中には、土地を使用する予定がなくアパート建築後に賃貸経営を始めたいと考えている人もいるかもしれませんが、実際にどのくらいの建設費用がかかるのでしょうか?
この記事では、40坪の土地にアパート建築する場合にかかる建築費用の相場、アパート経営と戸建て経営のメリット・デメリットについて解説します。
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目次
40坪の土地にアパートを建てるための建築費の目安
40坪は賃貸経営を始めるには少し物足りない坪数ですが、十分賃貸経営を始めることは可能です。
新築アパートの場合、すでに運用されている中古アパートの購入とは異なり、初期費用が大きくなるため、具体的にどのくらいの坪単価になるのかおおよその費用を把握しておく必要があります。
アパートの建設にかかる建築費について詳しく紹介していきます。
アパートの建設にかかる建築費は?
アパートの建設にかかる建設費は、建物の建築プラン(工法や構造、間取り、2階建て、3階建て)、建設を担当する建設会社(ハウスメーカー)によって大きく異なります。
そのため、一概にいくらとは言い切れませんが、おおよその相場を把握しておけば余裕を持った資金計画を立てられる、提案の見積もりが適正価格なのか判断できます。
アパート建築費の内訳、構造別アパート建築費の目安について見ていきましょう。
アパート建築費の内訳
アパート建築費は、大きく以下の3つに分類されます。
ポイント
・本体工事費
・付帯工事費
・諸費用
本体工事費は建築費の70%程度を占めます。躯体工事費や仕上げ工事費、設備工事費等が本体工事費に含まれます。
付帯工事費は本体工事費に付随する工事にかかる費用です。
建築費の20%程度を占め、屋外配管工事費、外構造園工事費、空調工事費、照明器具工事費、地盤改良工事費などが含まれます。
諸費用は建築物に関連する手続きにかかる費用です。
建築費の10%程度を占め、各種申請費用、登録費用(登録免許税)、ローン費用、保険料などが含まれます。
構造別アパート建築費の目安
同じ規模のアパートでも構造によって建築費は以下のように変化します。
ポイント
・木造:約80~100万円/坪
・鉄骨造(軽量鉄骨造):約80万円~110万円/坪
・鉄筋コンクリート造(RC造):約90万円~120万円/坪
木造は他よりも比較的安価でしたが、最近は木材の高騰により全体的に建築費が高くなっているという注意点があるので覚えておきましょう。
地域によって建てられるアパートの規模が変わる
アパート建築にかかる費用は地域によっても異なります。その理由は、地域によって建てられるアパートの規模が違うためです。
例えば、建蔽率や容積率の高いエリアでは、建築費の計算時に使用する延べ床面積が大きくなるため、請求される建築費が高くなります。
なお、建蔽率(建ぺい率)とは、敷地に占める建築面積(1階部分の面積)の割合、容積率とは、敷地に占める建物全体の面積(延床面積、延べ面積)の割合を意味します。
アパート経営のメリット・デメリット
40坪の土地の場合には、アパート経営よりも戸建経営のほうが向いているケースがあります。
自分に合う運用方法を選択するためにも、双方のメリット・デメリットを把握しておくことが大切です。
アパート経営のメリット・デメリットとして、以下の3つが挙げられます。
ポイント
・空室リスクを抑えられる
・投資効率が良い
・多くの初期投資が必要
それぞれのメリット・デメリットを詳しく説明していきます。
【メリット】空室リスクを抑えられる
アパート経営では、複数の部屋を同時運用します。
そのため、万が一空室が生じても、すべての部屋が空室にならない限りは家賃収入を得られるので収益が安定しやすいです。
しっかりシミュレーションを行って無理のない返済計画を立てていれば、経営に支障が生じにくいという点がアパート経営のメリットと言えるでしょう。
【メリット】投資効率が良い
初期費用に対して得られる収益が多いほど高利回りになり、初期費用の回収が早くなります。
アパート経営は1つの物件内に入居者が複数人いるので得られる家賃収入が多いです。
そのため、複数の選択肢がある土地活用方法の中でも高収益を目指しやすいでしょう。
【デメリット】多くの初期投資が必要
アパート経営は建築規模が大きくなるだけでなく、各戸に洗面設備、風呂、キッチンなどを設置するため、建築費用(初期投資)が高額になります。
「不動産投資ローンで費用をカバーすれば問題ない」と考えている人も多いかもしれませんが、借入額が大きくなるということはそれだけ返済負担が大きくなるので注意してください。
また、頭金を用意できなければアパート経営を始められない可能性があるという点にも気を付けましょう。
アパート経営と比較した戸建て経営のメリット・デメリット
アパート経営と比較した戸建て経営のメリット・デメリットとして、以下の3つが挙げられます。
ポイント
・土地の大きさを気にせずに済む
・長期入居が期待できる
・空室リスクが高い
それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
【メリット】土地の大きさを気にせずに済む
40坪の土地は十分に広い土地とは言えません。
アパート経営の場合、建蔽率や容積率の影響によって十分な建物を建築することができず、効率性が低下する可能性があります。
一方、戸建て住宅にとって40坪は十分な広さです。
比較的自由に設計できるほか、賃貸併用住宅を選択すれば、住宅ローンを利用することによって返済負担を抑えられるでしょう。
【メリット】長期入居が期待できる
戸建て住宅はファミリー層がターゲットなので、長期入居が期待できます。
その理由は、子どもの教育環境や住環境などから物件を選ぶケースが多く、賃貸物件の中では入居者の入れ替わりが生じにくいためです。
アパートもファミリー層をターゲットとしていますが、アパートは夫婦のみが入居している場合も多く、子どもが産まれると持ち家を検討する、さらに良い住環境を求めて契約更新とともに引っ越しを検討するケースが多いです。
不動産投資は安定した需要を確保できるかどうかにかかっているため、長期入居が期待できるという点は大きなメリットと言えるでしょう。
【デメリット】空室リスクが高い
アパートは戸建て住宅と比べると入居者の入れ替わりが生じやすいという特徴がありますが、入れ替わりが生じやすいという点は裏を返せば空室が生じても埋まりやすいことを意味します。
戸建て住宅は長期入居が期待できる一方、入れ替わりが生じにくく、空室期間が長くなりやすいです。
空室が生じた場合には、賃料収入が全くなくなってしまい、返済計画に支障が生じる可能性があるので注意してください。
状況に応じた活用方法を選択する
賃貸経営を始めるにあたってアパート経営が必ずしも最適というわけではありません。
特に不動産投資を開始する際に、十分な土地を確保できていない場合、状況に応じた最適な活用方法を選択することが大切です。
また、収益物件を建築する際は多額の建築費用が必要です。
計画を立てたものの、資金不足で建物を建築できなかったということがないように、おおよその相場を把握し資金計画をしっかり立てましょう。