賃貸アパート経営や賃貸マンション経営などの賃貸経営を始める際は、既に運用されている中古物件を取得するという方法以外に、自分で賃貸物件を新築するという方法もあります。
新築アパート、新築マンションを自ら建築する場合、本体工事費、設備費用、諸費用など何かとお金が必要ですが、どのくらいの金額がかかるのか分からないという人も多いのではないでしょうか?
この記事では、アパート経営でかかる建築費はいくらなのか、構造別のメリット・デメリット、押さえておくべきポイントなどを解説します。※本記事には「PR」が含まれます。
アパート経営を始める際にかかる建築費
アパート経営・マンション経営を最初から始める場合、建築プランを立ててアパート建築、マンション建築を進めていくことになります。賃貸物件は家賃収入による返済が期待できるため、不動産投資ローンやアパートローンなど金融機関の融資を受けることが可能です。
しかし、いくら融資を受けることができると言っても、建築費用のすべてを融資で補うフルローンを組むことは基本的にはできません。頭金を用意しなくてはならないため、アパート建築にどのくらい費用がかかるか相場を事前に確認してからアパート経営を開始することが重要です。アパート経営にどのくらいの費用がかかるのか紹介していきます。
建築費は「坪単価×延べ床面積」で計算する
土地の大きさは「坪」で表す一方、建物の大きさは「面積(平米)」で表すのが一般的です。建築費の総額(概算)を計算する際は、「坪単価×延べ床面積」という計算方法(計算式)を使用しますが、「坪単価」という1坪あたりの単価なので、面積を坪に変換しなくてはなりません。
「平方メートル(平米)×0.3025(0.3)」で平米を坪に変換できます。建築費用は、建物の規模(2階建て、3階建て)で異なるだけでなく、不動産会社(建築業者)が大手ハウスメーカーなのか工務店なのかによっても異なります。設計士に建物の設計を依頼した場合は、設計料が加算されることにより建築費が増えることになるので注意しましょう。
構造別アパート建築費の目安
建築費はアパートをどのような構造にするのかによっても以下のように異なります。
ポイント
・木造:50~70万円
・S造(軽量鉄骨造・鉄骨造):60~80万円
・RC造(鉄筋コンクリート造):80~120万円
上記はあくまでも概算ですが、建蔽率(建ぺい率)や容積率の低い土地では建物の規模が小さいので木造やS造、高い土地では建物の規模が大きくなるのでRC造が選択されます。
建物の構造によって初期費用が大きく異なるため、構造の選び方を知りたいという人も多いと思いますが、重厚な構造になるほど建築費は高くなる一方、耐用年数が長くなることでメンテナンスにかかる修繕費を抑えられます。
ただし、重厚な構造だからと言って、家賃設定を大幅に引き上げることはできないため、構造を良くすると利回りが低くなる点に注意が必要です。
土地購入費や付帯工事費も考慮する
土地所有者の場合は建築費用だけで済みます。土地活用の一環として賃貸経営(不動産投資)を始めれば、固定資産税や都市計画税などの税金の節税効果も期待できます。
また、土地の購入(取得)から賃貸経営を始めるケースでは土地代が加算されることにより初期費用が大きくなりますが、土地活用は比較的自己資金を抑えることが可能です。
しかし、宅地として使用していた土地ではない場合、建物を建築しても問題ないか調査するための地盤調査、地盤工事(改良)などの付帯工事費も発生します。また、諸費用として不動産の取得に対して課される不動産取得税、登記手続きにかかる登録免許税や司法書士報酬なども発生するということを覚えておきましょう。
アパートの構造別メリット・デメリット
土地の大きさや建蔽率(建ぺい率)または容積率によっては、規模の大きなアパートを建築することも可能です。アパート建築は立地条件や間取り、需要などさまざまな要因を考慮しながら建物の構造を決めますが、違いがよく分からないという人も多いと思います。木造、軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート造の違い(特徴)を詳しく紹介していきます。
木造アパートのメリット・デメリット
木造はアパートで多く採用されている構造(工法)です。
建築費を抑えられる、建築が容易なので工期が短いというメリットがあります。一方、耐久性の問題から高層化できない(2~3階まで)、耐用年数が短いという注意点が挙げられます。
ただし、耐用年数が短いという点についてはデメリットばかりではありません。経年劣化による資産価値の減少を支出として扱う減価償却費を計上できる期間が短く、毎年多くの経費を計上できます。木造は初期費用を抑えながらアパート経営を始めたい、1年に計上できる減価償却費を増やしたい人に向いていると言えるでしょう。
軽量鉄骨造アパートのメリット・デメリット
耐震性・耐久性の観点から木造ではなく、軽量鉄骨造が採用されているケースも増えています。
軽量鉄骨造のメリットは、木造と比べて耐震性や耐久性という点で優れているため、メンテナンス回数を木造よりも少なく抑えることにより維持コスト(修繕費)の削減が可能です。
しかし、他の工法と比べて耐火性・遮音性という点では少し劣る傾向があるため、どちらが良いか判断が難しい場合には専門家である不動産会社に相談することをおすすめします。
鉄筋コンクリート造アパートのメリット・デメリット
鉄筋コンクリート造の場合、中高層の建築が可能です。
例えば、5階建て以上、10階程度にすることも問題ありません。耐震性、耐久性、遮音性が優れているといった好条件の揃った工法ですが、建築コストが高い、工期が長くなるのですぐに収益が得られないなどのデメリットも伴います。家賃設定に限界があるので利回りが低くなりやすい、建築できる土地が限られていることを理解した上で選択しましょう。
アパート経営の建築費で押さえておくべきポイント
アパート経営の建築費で押さえておくべきポイントとして、以下の4つが挙げられます。
ポイント
・建築コストの回収には時間がかかる
・建物の構造(工法)を簡易にする
・複数社の見積もりを比較する
・金融機関の金利もチェックする
それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
建築コストの回収には時間がかかる
建築コストを早期に回収するために家賃の設定を上げるのは望ましくありません。その理由は、入居者はグレードよりも手軽な賃料で住めることを希望しているケースがほとんどだからです。そのため、初期費用と家賃設定を踏まえながら収支をシミュレーションすることが大切です。
収支(収益性)をシミュレーションする
木造は初期費用を抑えられる分、高利回りでの運用が期待できます。しかし、将来的に修繕が必要になりやすく、途中からは利回りが低くなる点に注意してください。支出も反映させた実質利回りでシミュレーションしておけば、投資を開始するリスクを軽減できるでしょう。
建物の構造(工法)を簡易にする
建築コスト、採算性(収益性)の点からは構造をシンプルにすることをおすすめします。構造をシンプルにすることで、初期費用を抑えることにより高利回りを実現できるだけでなく、将来建物を解体することになっても解体費用を抑えられるでしょう。
複数社の見積もりを比較する
見積もりを依頼する場合には、ハウスメーカー、工務店などの多種多様な建築会社(不動産会社)の見積もりを比較する(相見積もり)ことが重要です。その理由は、会社によって提案・企画・費用が全く異なるためです。費用を抑えるためにも、需要に合った物件を建築するためにも、複数社に見積もりを依頼しましょう。
金融機関の金利もチェックする
建築費を抑えられても金利が高ければ建築費が増えたのと同じです。そのため、不動産投資ローン(アパートローン)を利用する場合は、1社だけでなく複数の金融機関の金利を比較することが大切です。借入額が大きいため、少しの金利差でも返済負担が大きく異なることを十分に理解した上で金融機関を選択しましょう。
アパート新築経営には十分な資金計画を
アパート経営を始めるにあたり、1からアパートを新築する際は多額の資金が必要です。
仮に賃貸経営を開始しても、想定通りの入居率を維持できず空室率の高い状態が続いた場合は、不動産投資ローンの返済負担が重くのしかかるため、収支計画(資金計画)をしっかり立ててから臨むことが大切です。
そのため、アパート経営を開始する際は独断で決めるのではなく、不動産の専門家である不動産会社や不動産投資会社などに必ず相談しましょう。
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