賃貸マンションや賃貸アパートといった収益物件の購入を検討している不動産投資家の中には、銀行の融資を利用できるといっても、いくらお金を借りられるのか目安を知りたいと考えている人もいると思います。
借入可能額や必要な頭金のおおよその基準が理解できていれば、どの物件であれば投資が可能なのか判断できるため、不動産投資を速やかに始めることが可能です。
この記事では、融資上限額を判断できる指標の1つである積算価格とは何か、その他の不動産価値の評価方法、積算価格を投資判断に利用する際の注意点などを解説します。
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目次
積算価格から融資上限額を判断できる
賃貸アパートや賃貸マンションなどは数千万円~数億円するため、自己資金だけでは資金が不足します。そのため、金融機関の不動産投資ローンを利用して収益物件を購入することになりますが、融資審査に通らなければ不動産投資を開始できません。
仮に融資審査に通ったとしても、融資上限額が借入希望額に達していなければ購入したいと考えていた収益物件を購入できないため、計画を最初から立て直すことになります。融資上限額を判断する上で重要なのが積算価格です。積算価格について詳しく説明していきます。
積算価格とは
積算価格とは、土地と建物の価値を分けて算出し足したものです。同条件で建物を建て直した場合の土地価格と建物価格(再調達価格・再調達原価)から評価額を算出します。築年数の経過によって生じる経年劣化分は減額して調節します。
積算価格の計算方法
積算価格の計算方法は以下の通りです。
ポイント
「積算価格=土地の現在価格+建物の現在価格+修正額」
土地の現在価格は「公示地価または路線価×土地面積」、建物の現在価格は「建築単価(再調達単価)×建築面積×(残法定耐用年数÷法定耐用年数)」で算出します。修正額に反映されるのは、経年劣化による減額だけではありません。立地条件も重視されます。
例えば、正方形や長方形のような整形地だと評価額が高くなるので増額、旗竿地のような非整形地だと評価額が低くなるので減額される可能性があります。
また、駅徒歩数分の駅近の物件であれば増額されるなど、減額だけでなく増額される可能性もあることを覚えておきましょう。
融資上限額は積算価格の7~8割程度
アパート経営やマンション経営などを始める際は、多額の購入資金が必要になります。自己資金だけでは不足するので不動産投資ローンを利用します。
しかし、不動産投資ローンを利用できるといっても、全額融資(フルローン)を組むのは難しいです。積算価格の70%~80%を融資上限としている金融機関が多く、残りの20%~30%を自己資金で補えるかが不動産投資の開始可否を左右します。
また、売出価格と積算価格を比較して乖離の小さい物価は、割安な物件と判断できます。物件選びの指標にもなるので覚えておくと良いでしょう。
積算価格以外の不動産価値の計算方法
不動産価値の計算方法は積算価格だけではありません。他に以下のような計算方法で不動産価値を算出することが可能です。
ポイント
・取引事例比較法
・収益還元法
それぞれの計算方法を詳しく解説していきます。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、類似物件の過去の取引事例を参考にしながら不動産価値を算出する方法です。土地売買や区分マンション売買で用いられるケースが多いです。
しかし、取引事例比較法には、差異が生じやすいというデメリットがあるため、一戸建て住宅売買や賃貸物件売買ではあまり用いられません。そのため、一戸建て住宅売買や賃貸物件売買では、他の計算方法を用いることをおすすめします。
収益還元法
収益還元法とは、物件の収益性に着目し、将来生み出すことが期待される収益に基づきながら不動産価値を算出する方法です。収益還元法には、直接還元法とDCF法の2種類あります。
■直接還元法
直接還元法とは、不動産価格(収益価格)を簡易的に算出する方法です。「1年間の純利益÷還元利回り」という計算式で算出します。1年間の純利益とは、年間の総収入から委託管理費、固定資産税や都市計画税などの各種税金、修繕費用などの年間経費を引いた金額です。還元利回りとは、投資物件の1年間の実質利回り(1年間の純利益÷不動産価格×100)です。
■DCF法
DCF法とは、ディスカウント・キャッシュ・フロー法の略称で、所有中の純利益と売却時の予想売却価格を現在の価値に直して不動産価格を算出する方法です。「年間純利益の現在価値の合計+予想売却価格の現在価格」という計算式で算出します。
計算時には満室時の収益を基準とするのではなく、空室や家賃の減少などのリスクを踏まえて割引率を使用します。直接還元法と比較すると分析精度が高いというメリットがありますが、計算式が複雑なので知識や経験の少ない不動産投資初心者が使いこなすことは容易ではないという点に注意してください。
投資判断に積算価格を活用する際の注意点
物件の投資判断に積算価格を用いれば、お得な物件なのかどうか、融資上限額がいくらで頭金をいくら用意すればいいのかを判断できます。
そのため、積算価格を投資判断に用いるのは問題ありませんが、誤った使い方をした場合、物件選びを失敗するおそれがあるので注意が必要です。投資判断に積算価格を活用する際の注意点として、以下の2つが挙げられます。
注意ポイント
・「積算価格の高い物件=良い物件」ではない
・収益還元法も活用する
それぞれの注意点を詳しく紹介していきます。
「積算価格の高い物件=良い物件」ではない
積算価格の高い物件は、資産価値(担保価値)の高い物件といえます。しかし、「資産価値の高い物件=賃貸経営に向いている」とは限りません。
その理由は、積算価格が高くても家賃収入が少ない(利回りが低い)、固定遺産税や都市計画税、修繕費などの維持コストが大きい可能性があるためです。積算価格から投資に向いている物件と判断できても、利回りが高いかどうか、総合的に投資に向いている物件か判断することが重要です。
収益還元法も活用する
賃貸物件の場合は収益還元法も併用して不動産価値を算出することをおすすめします。その理由は、収益還元法の価格よりも物件価格が低い場合はお買い得な物件となるためです。
しかし、積算価格、収益還元法の計算式は簡単ではなく、知識や経験の少ない不動産投資初心者が実際に計算して比較することは難しいです。そのため、投資判断に積算価格、収益還元法の両方を活用したいのであれば、不動産の専門家である不動産会社(不動産投資会社)にサポートを依頼しましょう。
不動産投資では知識を身に付けることが不可欠
不動産投資は物件選びや経営に必要な管理などのほぼすべてを外部に委託できるため、知識や経験が少ない不動産投資初心者でも始めやすいのが魅力です。
しかし、専門家はあくまでもサポートをしてくれるだけで、最終決断はオーナー自らが下さなくてはなりません。適切な判断ができなければ失敗して資産を大きく減らすおそれもあるため、不動産投資に関する知識を身に付けてから不動産投資に臨むことをおすすめします。
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