不動産賃貸業とは、不動産業の1つで、不動産売買による売却益(譲渡益)を目的とした一般的な不動産業ではなく、賃貸不動産を取得して貸し出すことで家賃収入を得る事業形態です。
金融政策によって金融機関が個人に対しても融資を積極的に行うようになったことから、法人だけでなく個人も不動産投資(不動産賃貸業)に参入しやすくなりましたが、失敗しないのか不安に感じている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、不動産賃貸業のメリット・デメリット、向いている人について解説します。不動産賃貸業に興味がある方の参考になれば幸いです。
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目次
不動産賃貸業のメリット
不動産業には、不動産売買による売却益(譲渡益)を目的としたもの、売買・賃貸の仲介で得られる仲介手数料を目的としたもの、管理による管理費収入を目的としたものなど、さまざまな形態があります。他にも、賃貸マンションや賃貸アパートなどの賃貸住宅(貸家)を所有して貸し出すことで家賃収入を手に入れる不動産賃貸業という方法もあります。
不動産賃貸業は、ローンを組みやすくなったことによってハードルが下がったため、生活費の足しや老後の資金確保のため、土地活用の一環として検討する人が増えました。しかし、不動産賃貸業を始めても、不動産所得を必ず得られるとは限りません。失敗すれば資産を大きく減らすことになるため、成功に一歩でも近づくためにもメリット・デメリットをしっかり把握してから始めることが大切です。不動産賃貸業のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
ポイント
・免許や資格がなくても始められる
・本業と両立できる
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
継続的・安定的な家賃収入が期待できる
不動産賃貸業では、賃貸物件を貸し出すことによって賃料収入を得ます。
そのため、入居者さえいれば継続的・安定的な家賃収入が期待できるのが特徴です。高齢化によって退職後の期間が長くなっており、年金だけでは老後の資金が十分とはいえなくなりました。不動産投資を始めれば、家賃収入が老後資金(私的年金)の確保につながるため、老後に備えたい、生活費の足しにしたいと考えている人の注目を集めています。
許や資格がなくても始められる
不動産業の1つである不動産仲介業を始める場合、免許登録や宅地建物取引士といった国家資格の取得が必要になります。しかし、不動産賃貸業を始める際は、免許や資格を必要としません。
自らが宅地建物取引士を取得し不動産仲介業を始める際は合格率10%台の試験に合格しなければならない、第三者を雇う場合には人件費(経費)が増えます。不動産賃貸業では資格取得や有資格者の雇用を気にする必要がないため、開始する際のハードルが他と比べて低い点が魅力といえるでしょう。
本業と両立できる
自分で収益物件の管理を行う自主管理という物件との関わり方もあれば、多くの業務を外部に委託する委託管理という関わり方もあります。委託管理を選択した場合、自身は大家さんとして最終的な意思決定のみに携わるだけなので、手間と時間を省きながら不動産賃貸業に携わることができます。サラリーマンとして働きながら取り組めるため、効率的に資産を増やせるでしょう。
不動産賃貸業のデメリット
不動産賃貸業はメリットだけではありません。銀行預金や個人向け国債のように元本の保証された資産形成の手段ではないため、デメリットを把握し、しっかり対策を練った上で経営に臨むことが重要です。不動産賃貸業のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
注意ポイント
・短期間で多額の利益は期待できない
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
初期費用が大きい
不動産賃貸業では、投資用不動産の購入が必須です。金融機関の融資を利用できるといっても、不動産投資への過剰融資の問題から審査が厳しくなっており、取得金額の一部を頭金で補う必要があります。つまり、頭金を用意できなければ(資金がなければ)不動産賃貸業を開始できないということです。仮に融資審査が厳しくなく、取得金額の大半を借入金で補えたとしても、借入額が多いほど返済負担が大きくなることを忘れてはなりません。
空室率の上昇で想定通りの家賃収入が得られなかった場合は、返済計画に支障が生じて経営継続が困難になり、返済のために物件を手放さなくてはならない可能性も。無理なく返済を継続するためにも、頭金をある程度準備しておくことをおすすめします。
短期間で多額の利益は期待できない
不動産賃貸業はインカムゲインを目的としているので短期間で大きな利益は期待できません。インカムゲインとは、不動産投資の家賃収入、株式投資の配当金、投資信託の分配金などのことです。インカムゲインは継続的・安定的に得られる、ほぼ100%の確率で受け取れる(空室が生じた、配当が中止されたなどの特別な理由を除く)のが特徴です。
しかし、期待できるインカムゲインの利回りは数%程度と決して高くはありません。資産形成で多くの利益を得たいのであれば、キャピタルゲイン(売却益・譲渡益)を目的とした手段を選択しましょう。
不動産賃貸業に向いている人
不動産賃貸業はすべての人に向いているわけではありません。自身が積極的に資産形成に携わりたいという人の場合は、株式投資やFXなどの手段を選択したほうが良いでしょう。不動産賃貸業に向いている人の特徴として、以下の2つが挙げられます。
ポイント
・不労所得を得たいと考えている人
それぞれの特徴について詳しく紹介していきます。
収入の安定しているサラリーマン
不動産賃貸業を始められるかどうかは、不動産投資ローンの審査に通るかどうかにかかっているといえます。不動産投資ローンの審査には誰でも通るというわけではなく、継続的・安定的な収入源があるかどうかに基づいて判断されます。
収入の多い自営業者のほうがサラリーマンよりも融資審査に有利と考えている人も多いかもしれませんが、必ずしもそうとはいいきれません。その理由は、自営業者の場合、事業がうまくいかなければ収入が減少するリスクを伴う(社会的属性が低く扱われるケースが多い)ためです。収入の安定しているサラリーマンのほうが融資審査に有利であるケースが多いため、収入の安定しているサラリーマンは不動産賃貸業を検討しても良いでしょう。
不労所得を得たいと考えている人
不動産賃貸業では、必要な管理をほとんど外部に委託できるので不労所得を得られます。株式投資やFXといったほとんどの副業は、自身で主体となって取引するので不労所得とはいえません。不動産賃貸業で投資効率を高めて複数棟運用すれば、早期リタイアができる可能性があります。そのため、不労所得を得たい、将来的に早期リタイアを希望している人は、不動産賃貸業を始めるのも選択肢の1つといえるでしょう。
専門家に相談することも大切
知識や経験のほとんどない不動産投資初心者が独断で不動産投資を行うのは大変危険です。判断を誤った場合、資産を大きく減らしてしまう可能性があるため、不動産の専門家である不動産会社、法人化手続きの専門家である司法書士、税金の専門家である税理士といった各種専門家のサポートが不可欠です。各専門家にサポートを依頼するためには報酬を支払う必要がありますが、リスクを回避しながら継続的・安定的に不動産賃貸業を行うためにも専門家にアドバイスを求めましょう。