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【節税】減価償却の定額法とは?定率法との違いや選択する際の3つのポイントを解説

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土地活用、老後の生活費の確保、相続税・所得税の節税効果など、さまざまな目的で不動産投資を検討している人も多いと思います。所得税の節税効果で大きな役割を担うのが減価償却ですが、減価償却の仕組みがよくわからないという人も多いのではないでしょうか?

この記事では、減価償却費とは何なのか、計算方法、定額法・定率法の選び方などについて解説します。減価償却費について詳しく知りたい人の参考になれば幸いです。
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減価償却とは

不動産投資で得られた家賃収入や更新料、礼金、駐車場代などの収入は、仲介手数料や修繕費、水道光熱費などの支出(経費)を引いて残った分を不動産所得として計上します。不動産所得は給与所得といった総合課税の対象となる所得と合算して所得税を算出します。

日本の所得税の税率は、所得が増えるほど税率が高くなる累進課税が適用されており、本来であれば不動産所得が加わることによって税率が高くなるので所得税の節税効果は期待できません。しかし、不動産所得が赤字であれば、課税対象となる所得を減らせるので節税効果が期待できます。赤字といっても実際に赤字にする必要はありません。不動産所得を赤字にするまたは減らす際に重要な役割を担うのが減価償却です。減価償却について詳しく説明していきます。

不動産の取得費用を費用として計上する手続き

減価償却とは、経年劣化による資産価値の減少を経費として計上する手続きのことです。減価償却した場合に計上する経費のことを「減価償却費」と呼びます。

実際に支出が生じているわけではないにもかかわらず経費として計上できるため、不動産所得を削減する効果が期待できます。減価償却費を計上して不動産所得が赤字になった場合は、給与所得といった総合課税の対象となる所得の合計金額を減らすことも可能です。合計金額を減らすことができれば、適用される税率を下げる効果も期待できるでしょう。

減価償却の対象となる資産

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資産であれば何でも減価償却の対象になるというわけではありません。数年間使用可能な固定資産(無形固定資産・有形固定資産)が減価償却の対象となるので注意してください。

例えば、建物、機械、器具、備品、自動車などが償却資産に該当します。購入費が10万円未満のものは、全額(取得原価)をその年分の経費として計上します。「土地の取得にかかった費用も減価償却できるの?」と気になった人もいると思いますが、土地には経年劣化という概念が合わないので減価償却できません。不動産投資の場合、建物附属設備や構築物などの減価償却資産が対象となるので覚えておきましょう。

減価償却の期間

購入費が10万円超の固定資産は、一括ではなく複数年に分けて経費計上します。何回に分けるか、償却額がいくらなのかは経費計上する資産によって異なるので注意が必要です。確定申告時には、財務省が定めている法定耐用年数(償却率)を用いて期間を算出します。大きな所得税の節税効果が期待できる建物の法定耐用年数(償却率)は以下の通りです。

メモ

・木造:22年、0.046
・鉄骨造(3mm以下):19年、0.053
・鉄骨造(3mm超~4mm以下):27年、0.038
・鉄骨造(4mm超):34年、0.030
・鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート造:47年、0.022

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法定耐用年数を経過しても資産価値が0円になるわけではありません。平成19年度の税制改正で、償却可能限度額および残存価額が廃止されたことによって1円まで償却されることになりました。事業用の建物の場合は、構造によって耐用年数や償却率が異なります。5年、6年といったように減価償却の期間が短いほど、1年あたりの経費計上額が多くなるということを覚えておきましょう。

中古物件の耐用年数

中古物件の減価償却期間は「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」で算出します。残存年数を基準としないという点に注意してください。法定耐用年数を経過した物件は「法定耐用年数×20%」という計算式を使用します。上記のように法定耐用年数を経過していても一定の減価償却期間があります。

減価償却の計算方法

減価償却がどのようなものかわかったものの、減価償却方法について詳しく知りたい人も多いと思います。減価償却の会計処理の方法(仕訳方法)には、直接法と間接法の2種類があります。

直接法とは、減価償却費を固定資産から直接引く仕訳方法です。間接法とは、固定資産を減らさずに減価償却累計額を計上する方法です。専門的な知識が必要なので、よくわからない人は税理士に相談しましょう。減価償却の計算方法には定額法と定率法の2種類があります。

定額法と定率法の違いについて詳しく解説していきます。

硬貨と電卓

定額法による減価償却費の計算方法

定額法とは、法定耐用年数の期間中、毎年同じ金額の減価償却費を計上する会計方法です。定額法での減価償却費は「取得価額×定額法の償却率」という計算式を使用します。

例えば、2,000万円の資産を20年で償却する場合は、毎年100万円ずつ減価償却します。建物の減価償却では原則定額法を用いるので覚えておきましょう。

定率法による減価償却費の計算方法

定率法とは、取得価格から前年度までの減価償却費用を引いた金額に償却率をかけて計上する会計方法です。定率法は年数が経過するごとに減価償却費が下がっていくのが特徴です。

定率法での減価償却費は「前年末未償却残高×定率法の償却率」という計算式を使用します。2012年4月1日以後200%定率法が採用されているため、これから不動産投資を始める場合は200%定率法を用いることになります。200%定率法とは、定額法の償却率を2倍にして算出するという方式です。税制改正(改定)によりルールが変更になることも多いため、法改正は適宜確認しておきましょう。

定額法と定率法の選び方

建物の減価償却では原則定額法を用いるということでしたが、それ以外の減価償却資産についてはどの計算方法を選定すればいいのかわからないという人も多いと思います。最後に定額法と定率法の選び方を紹介していきます。

目的に応じて選択する

定額法は一定額ずつ経費計上できるため、特に難しい計算を必要とせず、会計処理を行いやすいというメリットがあります。一方、定率法を用いた場合は、家賃収入が比較的安定しやすい1年目、2年目といった前半に経費を多く計上できるため、大きな節税効果が得られる点がメリットです。

わからない場合は税理士などに相談する

不動産所得と給与所得を合算した金額、個人なのか法人なのかによって適切な計算方法は異なります。専門的な知識が必要になるので税理士や公認会計士などに相談することをおすすめします。

商談をするスーツを着た男性2人

法人が会計上の計算方法を変更する場合は、変更する事業年度の前日までに税務署に届出を提出・郵送、電子申告のいずれかを行わなくてはなりません。一度採用した計算方法を変えるには上記のような手続きが必要です。いつでも自由に変えられるわけではないため、慎重な選択が求められるということを覚えておきましょう。

不動産投資では税制に関する知識も必要

不動産投資では、管理は不動産管理会社に委託できる、登記関係や法人化についても司法書士に依頼できる、税金関係についても税理士に相談できます。専門家にサポートを依頼する、アドバイスを受けることができるため、オーナー自身に不動産投資に関する知識がなくても問題ありません。

しかし、いくらサポートを依頼する、アドバイスを受けられたとしても最終決断を下すのはオーナー自身です。誤った判断を下した場合は、経営に支障が生じるおそれもあるので不動産投資に必要な知識はしっかり身に付けておきましょう。

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管理人

サラリーマン大家です。最新の不動産投資セミナーや面談情報、不動産投資に関連する諸々の記事を執筆しています。

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