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【解体工事】収益物件の解体費用はいくらかかる?内訳と費用を抑える3つのコツ

家を解体している現場。Demolition-work

一棟マンションや一棟アパート、一戸建てなどの収益物件を運用して家賃収入を得ている人の中には、経年劣化により経営の継続が困難になったため、建物の解体を検討している人もいると思います。解体工事費用が高額であることを考えると、解体前に売却するのも選択肢の1つといえるため、適切な判断を下すためにも解体工事費用の相場を事前に把握しておくことが大切です。

この記事では、収益物件の解体費用の目安、費用の内訳、安く抑える方法について解説します。解体費用について詳しく知りたい方の参考になれば幸いです。
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収益物件の解体費用の目安

土地活用や資産形成の一環として不動産投資を行っている人の中には、建物の劣化の進行が原因で支出が収入を上回ってきたという人もいると思います。そのようなケースでは、そのまま経営を続けていても収支が悪化するだけなので、解体後更地にして売却、再度賃貸物件を建築して運用するといういずれかを選択することになります。

しかし、解体後に売却する場合、解体費用が高額になるとそのまま売却したほうが良いケースもあるため、解体工事費用の相場を把握してから判断することが重要です。建物の構造別の解体費用、解体費用が変動する理由などを詳しく説明していきます。

建物の構造別の解体費用

収益物件の構造によって、解体費用が以下のように異なります。

メモ

・木造の場合:坪4万円~5万円
・鉄骨造(S造)の場合:坪6万円~7万円
・鉄筋コンクリート造(RC造)の場合:坪7万円~8万円

木造は一般的な重機で解体できるものの、それ以外は構造が複雑で規模が大きいため、特殊な重機が必要になります。そのため、解体工事の日数が長くなることによって作業員の人件費が増える、重機の使用料や処分費用(処理費用)が上乗せされるため、工事費用が高騰します。

上記の坪単価はあくまでも1つの事例です。物件規模(2階建て・3階建て)、地域、立地条件などさまざまな要因で変化するため、あくまでも目安として捉えておきましょう。

解体費用が変動する要因

解体費用は一律ではありません。個別要因によって解体費用が変動するため、どのような要因が費用に影響を及ぼすのか把握しておくことも大切です。解体費用が変動する要因として、以下の3つが挙げられます。

メモ

・前面道路の広さ
・隣接する建物との距離
・アスベストの有無

前面道路の広さ

前面道路が狭い場合、重機や大型トラックが横付けできません。その結果、作業に時間がかかることによって、人件費がかさむので解体費用の総額が高くなります。

空き地

また、解体作業の影響を受けて通行に支障が生じるような場合には、交通整理を行うためのガードマンを雇わなくてはなりません。そのようなケースでは、さらに解体費用が膨らむので注意してください。

隣接する建物との距離

隣接する建物(住宅)との距離が近い場合、重機を使用できず手作業になります。その結果、防音、防塵ネットにも工夫が必要になるため、追加費用が発生するおそれがあります。必ず高額になるというわけではありませんが、細心の注意を払いつつ建物の解体に取り組まなくてはならず、手間がかかることで解体費用が高額になりやすいということを覚えておきましょう。

アスベストの有無

建材にアスベストを使用している場合、飛散しないための工夫が求められます。その結果、専門家を招集することによる人件費増加、処分費用(処理費用)、防塵マスクや防護服を手配するための諸費用などが上乗せされるため、通常の解体作業よりも多くかかります。アスベストはすべての物件で使用されているわけではありません。1975年以前の収益物件の場合、断熱材としてアスベストが使用されている可能性が高いため、事前にアスベストの使用の有無を確認しておくことをおすすめします。

解体費用に占める費用の内訳

解体費用がいくらくらいなのかおおよその相場が分かれば、解体工事に向けて費用を準備できる、建物を解体してから売却すべきかどうかの判断をしやすくなります。解体費用に占める費用の内訳も把握しておけば、どの工事にいくらくらいの費用がかかるのか分かるため、削減できる項目がないか探しやすくなるでしょう。解体費用に占める費用の内訳として以下のような費目が挙げられます。

メモ

・仮設工事費
・解体工事費
・整地費用
・廃材処分費
・その他費用


それぞれの内訳について詳しく解説していきます。

仮設工事費

仮設工事費は、さらに以下のような費目に分けられます。

メモ

・足場や防音、防塵シートを設置するのにかかる費用
・重機を運び込むための敷き鉄板を設置するのにかかる費用
・仮設トイレや仮設水道、電気の確保といった準備にかかる費用

仮設工事は、解体工事の作業の流れをスムーズにする、トラブルを回避する上でかかせない費用なので削減するのは厳しいでしょう。

解体工事費

解体工事費は、さらに以下のような費目に分けられます。

メモ

・室内設備の解体にかかる費用
・屋根の解体にかかる費用
・その他建物の解体にかかる費用

内装解体については、基本的に手作業になるので費用が高くなる傾向にあります。そのため、内装が特殊な物件の場合、解体費用が割高になりやすいという点に注意してください。

整地費用

整地費用とは、解体工事後に土地を整えるのにかかる費用です。

空き地

どのように整地するのかによって費用が異なります。整地方法は大きく以下の4つに分類されます。

メモ

・荒仕上げ(荒整地)
・砂利整地
・アスファルト舗装
・コンクリート舗装

荒整地や砂利整地は費用を抑えられる点が大きなメリット、アスファルト舗装やコンクリート舗装は費用が高額である点が大きなデメリットです。自分で整地方法を選択できるのであれば、荒整地や砂利整地を選択することにより少しは費用負担を軽減できるでしょう。

廃材処分費

廃材処分費とは、廃材の処分にかかる費用です。

住宅を解体する重機

解体作業では多くの廃材が発生するため、廃材処分費が解体費用の大半を占めることになります。「一部の廃材を家庭ゴミとして出せば費用を抑えられる」と考えた人もいるかもしれませんが、廃材は産業廃棄物として分類して処分しなくてはなりません。反対に査定(現地調査)を依頼して廃材処分費の安かった解体業者は、不法投棄のリスクがあるため、廃材処分費は削減できないものと考えておきましょう。

その他費用

その他の費用として、以下のような費目が挙げられます。

メモ

・作業員、重機のオペレーター、産業廃棄物を運搬する人などの人件費
・追加工事費用(ブロック塀、浄化槽、樹木の撤去など)
・工事車両を駐車するための駐車場代
・各種届出や手続きに必要な手数料
・近隣住民へのあいさつの粗品代

諸経費と一括で計上されている場合には、業者の利益が上乗せされている可能性があるため、無駄な支出を抑えるためにも、詳細の提示を求めることをおすすめします。

解体費用を安く抑える方法

解体費用を少しでも安く抑えたい人に向けて、最後に解体費用を安く抑える方法を紹介します。解体費用を安く抑える方法として、以下の3つが挙げられます。

メモ

・複数の解体業者に見積もりを依頼する
・解体業者の繁忙期を避ける
・補助金や助成金を活用する

それぞれの方法を詳しく説明していきます。

複数の解体業者に見積もりを依頼する

解体業者によって解体費用は異なります。そのため、1社だけでなく、複数の解体業者に見積もりを依頼し比較することをおすすめします。見積価格の安さだけを見て判断するのは大変危険です。作業員の数、作業日数、実績などから総合的に判断しましょう。

家を解体する重機

解体業者の繁忙期を避ける

引越し等と同じで、繁忙期を避けて依頼することで費用を抑えやすくなる可能性があります。年末や年度末(12月や3月)は作業員の確保が困難という理由から費用が高くなる傾向があります。事前に解体業者にいつ頃が良いのかを確認しておくのも選択肢の1つといえるでしょう。

補助金や助成金を活用する

老朽化した空き家の問題を解決するために解体費用を助成している自治体が増えています。各自治体の補助金や助成金を解体費用に充てれば、負担を抑えられます。地域や物件の種類によって利用できない可能性もあるため、事前に条件を確認しておきましょう。参考までに、東京都荒川区のホームページにある、古い空家住宅の解体助成をご紹介します。

【参考】東京都荒川区|古い空家住宅の解体費助成

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管理人

サラリーマン大家です。最新の不動産投資セミナーや面談情報、不動産投資に関連する諸々の記事を執筆しています。

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