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【空き地の有効活用】表面波探査法4つのメリット・デメリット、他の地盤調査方法を解説

穴を掘るショベル

空き地の有効活用(土地活用)の一環、資産形成の一環として賃貸経営を検討している人の中には、収益物件を支える地盤の土質、地耐力に問題がないか気になっている人もいると思います。地盤を調査すれば、安心・安全な住宅を建築できる地質かどうかを確認できますが、地盤の調査方法(診断方法)の種類は多数あるため、どれを選択すべきか分からない人も多いのではないでしょうか?

この記事では、代表的な地盤解析方法の1つ表面探査法のメリット・デメリット、スクリューウエイト貫入試験、ボーリング標準貫入試験との違いを解説します。地盤調査方法について詳しく知りたいという方の参考になれば幸いです。
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表面波探査法とは

建物を支える地盤の支持力が弱い場合、地震の影響を受けやすいため、地盤改良工事が必要です。もし、土地の取得から賃貸経営の開始を検討しているのであれば、リスク軽減、無駄な支出を少しでも減らすためにも、強固な地盤の土地を取得しましょう。

表面波探査法とは、地盤に小さな振動を人工的に発生させて表面波を計測し、計測データから地盤の強度を解析する調査方式です。表面波探査法について詳しく説明していきます。

表面波探査法の実施方法

表面波探査法では、起振機起振機起振機という人がわずかに感じ取れる程度の振動を発生させる機械を使用して、地面を揺することによって地震を発生させます。周波数を変化させながら検出器で波の早さを測定するのが表面波探査法の特徴です。

波が早く伝わった場合は地盤が固いと判断される一方で、波がゆっくりと伝わった場合には軟弱な地盤と判断されます。建物の建築を予定している場所の4隅と中央の全部で5箇所の測定を行います。

表面波探査法のメリット

表面波探査法を行う際に利用する起震機と波の速度を計測(算出)する検出器は小さいため、広いスペースは不要です。そのため、土地のスペースが狭い場合でも調査できるという点が大きなメリットといえます。また、穴を掘ったり、地盤を破壊したりする必要はありません。

穴を掘るショベルカー

調査を簡便に済ませられるため、短期間で調査結果を取得できる、費用を安く抑えられる点も表面波探査法の大きなメリットといえるでしょう。

表面波探査法のデメリット

表面波探査法は地下10m程度までの支持力や沈下量は測定可能ですが、10mよりも深度の深い部分(深部)の調査精度が低いというデメリットがあります。そのため、正確な地盤調査の結果を求められる重厚な建物や高層建築物の地盤調査には不向きです。

また、特別な知識が求められるため、表面波探査法による地盤調査に対応している専門家の在籍する業者でしか実施できません。表面波探査法を希望しても、対応していないケースがあることを覚えておきましょう。

スクリューウエイト貫入試験との違い

一般的な地盤調査方法として知られていて広く普及しているのがスクリューウエイト貫入試験です。スクリューウエイト貫入試験は、スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)から名称変更された地盤調査の手法で、ロッドという鉄の棒を垂直に突き刺して、沈み方から地盤の強度を調査します。具体的な調査方法と表面波探査法との違いについて詳しく解説していきます。

スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)の実施方法

スクリューウエイト貫入試験では、ロッド、スクリュー、錘などで構成される試験装置を使用します。ロッドを突き刺したときの沈み方から土の硬軟または締まり具合を判定します。5kgの荷重から開始し、沈まない場合は徐々に荷重を追加していくのが一般的です。最終的にロッドが地盤に25cm入った時点で調査終了です。

表面波探査法との違い

表面波探査法との違いとして、以下の2つが挙げられます。

ポイント

・調査精度が低い
・調査費用を抑えられる

調査精度が低い

スクリューウエイト貫入試験には、地盤が固い、深度が深いほど地盤調査結果の精度が落ちやすいというデメリットがあります。特に埋設物と支持層の区別が判断しにくいのが現状で、不純物(ガラ)が含まれているまたはレキ質の盛り土がある場合などに調査結果に影響が生じます。「地盤改良の必要あり」と判断されるケースが多く、無駄な地盤改良工事を実施することによって支出が増えるおそれがあるという点に注意してください。

調査費用を抑えられる

調査費用単体では、表面波探査法と比べて調査自体にかかる費用は安めです。そのため、調査費用を少しでも抑えたい人は、スクリューウエイト貫入試験を選ぶことをおすすめします。ただし、その後の調査結果に基づいて行われる地盤改良工事費用を加味すると、表面波探査法よりもトータルコストが大きくなりやすい点に注意が必要です。

スクリューウエイト貫入試験は簡易的な調査方法であるため、調査時間が短く、数時間で完了するのが魅力ですが、精度を求めるのであれば点ではなく面で判断する表面波探査法を選びましょう。

ボーリング標準貫入試験との違い

ショベルカーとボーリング重機

高層マンションやビルの建設予定地で大掛かりな穴を掘る機械を見かけたことがある人もいると思います。それがボーリング標準貫入試験です。ボーリング標準貫入試験では、地面に円筒形状の穴をあけ、深さ1mごとの土のサンプルを採取します。実際に土を採取するため、正確性が高いのが特徴です。

ボーリング標準貫入試験の実施方法

やぐらに設置した落下装置(ハンマー)を繰り返し落下させ、先端のサンプラーで土を採取します。他の地盤調査を選択した場合には、深度の深い部分の調査は実施できませんが、ボーリング標準貫入試験であれば地中数十メートルの地質や強度を把握できます。

表面波探査法との違い

表面波探査法との違いとして、以下の2つが挙げられます。

ポイント

・調査精度が高い
・費用が高額

調査精度が高い

実施件数の多く、古くから採用(適用)されている地盤調査方法なので精度が高い点が強みです。地質調査だけでなく、採取した土を調査することによって液状化の有無、現場の地下水位の状況なども判定できます。地中10メートル以上の調査も可能なので、建築するにあたって強固な地盤が求められる重厚な建物、高層建築物の地盤調査にも対応しています。

費用が高額

落下装置を設置するためにやぐらを立てなくてはなりません。調査を実施するにあたって広い敷地を必要とするケースが多いため、地域によってはボーリング標準貫入試験を選択できない可能性があります。また、大掛かりな調査なので調査費用が高く、結果が出るまでに時間がかかる点もデメリットです。重厚な建物、高層建築物の建設を予定していない場合は、表面波探査法で十分でしょう。

最後に:リスク対策をしっかり行っておくことが重要

土地の取得から賃貸経営を開始しようとしている人の中には、少しでも取得費を抑えながら賃貸経営を開始したいと考えている人が多いと思います。「地盤調査には多額の費用がかかるので不要」と考えている人もいるかもしれませんが、取得した土地に問題があった場合、後で無駄な支出を支払うことになります。そのため、無駄な支出を抑えるため、リスクを抑えるためにも地盤調査はしっかり行うことが大切ですね。

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